Australian National University: 学生の姿勢について


こんにちは, オーストラリア キャンベラにあるCanberra Hospital(ANU Medical schoolの実習病院でもある)派遣生のスズキです。

今週から神経内科が始まり, 超早口なAussieEnglishを必死に理解しながら, 充実した実習をさせて頂いています。

今日はANU医学部生のレクチャーの様子についてお話します。
ANUの4年生は(医学部は4年卒業), 毎週金曜日がレクチャーのみの日となっており, 基本的に実習はありません。したがって, 実質病院に来るのは週4日です。

金曜日はワークショップ形式の参加型授業や座学が朝から夕方まで続きます。
例えば, 今日のスケジュールは...

8:30- Acute Care (参加型)
10:30- Management of patients with hypertension (以下, 講義)
12:00- History and Examination in Gynaecology
14:00- QA, CPD and Patient Safety
15:00- Principles of Psychotherapies - Long term treatments
16:00- Short term psychotherapies - CBT and IPT

といった感じです。

さて, 講義の出席は必須ではなく, また全てビデオ録画されているため, 見たい内容は自分で家で学ぶことができます。

ANU医学部は, USA等の医学部と同様に, 他分野の学位をとった後に医学部に入ります。そのため, 入学時の年齢も学術的バックグラウンドも国籍もバラバラです。子供がいる, 結婚している, パートナー(boy/girl friendではなくpartnerと言うことが多い)と同棲している, 仕事している---様々な事情を抱えた学生がいるため, 無理に講義に来なくても良いようなシステムがあります。

実際にANU学生に混じって講義に潜ってみると, 学生の30%くらいしか出席していません。特に, オーストラリアで人気がない精神科(出典:友人)の講義では学生の20%いるかいないかといったほどです。

「学びたいことがあれば, 来て積極的にやれば良いしそれを支援してくれる。
特に(その機会に)学びたいことがなく, 自分の選択で別の事をした方が良いと考えるなら, 無理強いはしない。」
といったスタンスが病院実習と講義の両方で徹底されています。

学生も大学のスタンスを充分に理解した上で, 常に能動的に実習に参加しています。
そして, 15-16時には帰宅する学生がほとんどです。

さて, 実際に今日出席した講義(14:00-)では,
「心筋梗塞の既往があり, 高血圧, 糖尿病, hypothiroidismに対し複数の薬剤を処方されている女性が吐き気と嘔吐を主訴にEmergencyDepartmentに来院した」
という症例を扱い, 実際に病院で使われている用紙を用いて処方箋を記入するという課題がありました。

ここの病院はカルテや処方箋が基本的に手書きのため, 記入には(読むのにも)訓練がある程度の練習が必要です。それを研修医になってからではなく, 学生のうちにやっておこうという試みだそうです(ANU学生は75-80%の学生がそのままCanberraHospitalで研修医になる)。

ここでは, AMIに対するステント留置があること, メトホルミン服用における乳酸アシドーシスといった副作用などに留意しつつ, 主訴である吐き気と嘔吐の評価をし対応するといった実臨床に基づいた, commonでありながら複雑なシチュエーションを扱っていました。

学生の質問量と先生の発言量が同じくらいになるほど, インタラクティブな講義でした。
先生も結論ありきの議論ではなく, 積極的に学生の意見を拾い, その場その場で議論を展開させていくスタイルで進めていて, それでいて, 未だ学生には実感の湧かない現実的な臨床医的視点を提供していました。

「μg(マイクログラム)は手書きで書くと酷く読みづらい時があるからmicrogと書いてください。」など, 次期初期研修医に対するオリエンテーションとしての内容もありました。

医科歯科で言うと症例問題を班員で話しながら考えるPCCに対応するような内容でしょうか。ANUでは, その場でガイドラインを参照して,処方する薬の服用方法と服用量まで学生が考えていました。ここまでやっても良い気がしました。(あくまで練習なので)

では!








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